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 この邦題はなんというか絶妙ですな

ロンドン郊外で平凡な人生を送ってきた主婦が、 最愛の孫の手術費用のために奔走する。 しかし手に職がなく、 とうも過ぎている彼女を相手にしてくれる企業も銀行もない。
絶望の中迷い込んだのは歓楽街ソーホー。 そこで見つけた「接客係募集・高給」の張り紙に飛びこんだのは いわゆる「風俗店」で…。
庶民の厳しい現実を描きながら、 ユーモアのエッセンスを忘れずに、家族愛や恋愛の温かさを謳うスタイルは、 同じくイギリスを舞台にした 「フル・モンティ」や「ブラス!」を思い起こさせます。
この映画の魅力はなんといっても、主演のマリアンヌ・フェイスフル。
貴族出身。ミック・ジャガーの元恋人。 60年代のイコン。麻薬中毒。ホームレス…。
そんな壮絶な人生を送ってきた彼女が60歳を過ぎて久々に映画主演!?
そんな興味本位な気持ちが この映画を観ようと思ったそもそものきっかけでした。
彼女の名前に反応して、 「あの」マリアンヌ・フェイスフルという先入観で 映画に向かってしまったのです。
しかしそれは間違いでした。
彼女が送ってきた過酷なリアルライフは、 スクリーンからはこれっぽっちも感じられません。
もちろん彼女のこれまでの人生経験が、 彼女の演技の源になっているというのは簡単ですが、 そんなことは知らなくてもいいんです。 この映画の彼女は「普通の中年おばちゃん」。
「このおばちゃん、どんくさいけどホントに可愛いなぁ」と 誰もが思えるはずです。
逆に言うとそれ以上でもそれ以下でもない。
だけどそれだけで充分。
凡庸で不器用な主人公が見せる深くて温かい愛情は、 静かに、でも確実に胸に迫ってきます。
映画というのは、作品そのものだけじゃなくて 映画俳優の私生活など周辺ゴシップも含めて 映画の一部だとは思うのですが、 それに捉われてしまうと映画の純粋な美しさを見逃してしまうなぁと、 この映画をみて改めて反省したわけでありました。
風俗店の経営者と マリアンヌ・フェイスフル扮する主人公の間で ゆっくりと育まれる中年の純愛。
劇中、おじさんは彼女にこう言います。
「俺は君の○○が好きなんだ」。
僕も映画を観ながら 彼女の「それ」が すごくチャーミングだなぁと思っていました。
これを好きだと言えるような、 粋な中年になりたいと感じる今日この頃です。
ラストカットもこれまたキュートで微笑ましい!
 | Reviewer / benzo 1969年、静岡県生まれ。仕事はテレビ局のディレクター。映画は古今東西何でもみます。ブライアン・デ・パルマとロベール・ブレッソンとテリー・ギリアムが大好きです。 |
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